たった2時間程度で、大げさにいえば人生が変わる。一方のチームは笑い、もう一方はうなだれて涙を流す。数時間前には、北里で打ち込みをしていたのに、気づけば静かに道具を片付けている。
「負け」とはこんなにも切ないものかと毎回のように思うが、その時の悔しさをずっと持ち続けられるほど僕たちは強くない。バスに乗ればゲームの話で盛り上がるし、翌日学校に行けば友達とたわいもない話をしながら、いつの間にか日常に戻っていく。
これまでを振り返っても、震えるほど嬉しい勝ちはあった。
寝るときに思い出していたたまれなくなるくらい悔しい負けもあった。
だけどそのすべてを鮮明に覚えているかと言われると、首をかしげてしまう。いつの間にかその時の感情も薄れている。
そんなことの繰り返しで気づけば中3の4月、二個下の後輩が入ってきた。入団時、あれだけ大きく見えた3年生の背中にいつのまにか自分達がなっている。
関東ボーイズが終わり、残す大会は実質あと二つ。
あっという間に過ぎ去る一週間をあと5回繰り返せば、選手権大会の背番号が配られる。
家に帰っておいしいご飯を食べながらイッテQを見る、いつもの日曜日を10回繰り返せば最後の大会が始まる。
あと何回、バスに乗るんだろう。
あと何回、皆でランニングするんだろう。
あと何回、北里でダウンをするんだろう。
あと何回……
君たちが思っているよりも残り時間はうんと少ない。だが、リミットが迫っている中でも、まだできる。もっとできる。
「こんなもんじゃないだろう」
精一杯、自分達の持てるプライドを引き上げていきたい。格好つけるという意味ではない。弱い自分を受け入れて、泥臭く、前のめりに、持てる力の精一杯を毎日毎日出し続けて、36期生にバトンを渡したい。
「こんなもんじゃないだろう」
そう言い続けると、現状と理想とのギャップの大きさにしんどくなる。だからこそ成長する。
「こんなもんじゃないだろう」
はると・ふうま、最後の最後にもう一段上がって来いよ。
「こんなもんじゃないだろう」
自分に、仲間に、期待しているからこそ言い続ける。
「こんなもんじゃないだろう」
今日の気持ちを忘れないでいたい。
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